人工知能に関する本の中でも
圧倒的にオススメしたいのがこの1冊。
よって、数回に分けて、内容を紹介したい。
今回は、なんと実に第4回目。
前回書いた記事
「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」を強くオススメしたい。 vol.1
「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」を強くオススメしたい。 vol.2
「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」を強くオススメしたい。 vol.3
の続きです。
「第4章 第二の大分岐」 より
汎用目的技術をはじめに握るのは?
これまでにも起きてきた大分岐。
汎用AIが 実用化されれば、
第二の大分岐が起きるだろう、と
そんな話である。
そんな大分岐に関する言及です。
とはいえ、話題は順を追って。
ドイツ政府は、2011年に「インダストリー4.0」
という政策ヴィションを掲げました。
このヴィジョンの中核には、生産工程で機械が自ら学習し、
機械同士が会話する「スマートファクトリ」(考える工場)の
コンセプトがあります。
機械同士が会話をする。
そんな世界の実現を工業大国ドイツは目指す。
それを2011年に掲げているのです。
機械と機械が情報交換をしながら
協調して動作するのだとか。
人間が介在して、判断して、対応しているものを
機械が判断して、勝手に生産活動を行う。
そんな世界を実現させよう、というのです。
人間の労働力は必要なくなります。
なんと、恐ろしいことでしょうか。
そして、なんと素晴らしいコンセプトだろう。
各時期にGPT(汎用目的技術)をいち早く導入し
発展させ活用した国が覇権を握っている。
覇権を握る国、についての言及です。
蒸気機関を握った イギリス
内燃機関を握った アメリカ・ドイツ
コンピュータを握った アメリカ
IoTやAIは?? アメリカ?中国?ドイツ?日本?
と、そんな話です。
確かに、これまでの歴史を見れば明らかです。
イギリス、アメリカが世界的に強いです。
汎用技術を導入、発展、活用したから、と
上記の国が強くなった過程を
汎用目的技術をベースに説明しています。
それが実際にどうなのか?
といえば、わかりません。
燃料だ、という人もいます。
海賊とよばれた男 などでも見られる論争。
燃料を巡って、世界大戦が起きた。
とも言われます。
しかし、これは
汎用目的技術を世界に先駆けた国が
その重要性を把握し、先駆けて投資し、
利権を握った、といった要素であり、
結論としては、ほぼ同じ。
やはり汎用目的技術を握るかどうか
これが重要なのだ。
今は、中国の台頭が激しい。
すごい勢いで技術を伸ばしている。
ドローンのDJI社がわかりやすい例で
他を圧倒し、世界で覇権を握る領域もある。
キーボード入力が大変だから、とか
人前で話す事をいとわない、等の
特殊事情もあるとは言うが、
音声入力も圧倒的に使われている。
もちろん、Googleを筆頭としたアメリカ
負けじと日本も続く。
世界は1つに繋がりつつあるので
国家レベルでどうのこうのより
どの企業が、どの組織が、
といった捉え方がより今の世界の現実に
近いような気はするが。
第四次産業革命後の時代でも、
後で述べるような爆発的な経済成長が起こるならば、
人口の少ない国であっても、GDPが途方もなく
大きくなり、世界の覇権を握る可能性があります。
人口の小さい国であっても世界の覇権を握る可能性がある。
今や、国家の時代ではないかもしれない。
もちろん、枠組みの中では国家は存在するが
誰が?とか、その人が所属する組織は?
その組織を構成する人の国籍は?
その組織が所属する国家は?
といった部分にこそ、スポットがあたる気がする。
言いたいことは
国家の規模は関係ない、ということ。
もっといえば、国家自体も関係ないのかも。
AI時代を生き抜く「らしさ」
それでも人間はそんな汎用AI には負けない
幾つかの領域を持つものと思われます。
生命の壁が存在するならば、
・クリエイティヴィティ系(創造性 Creatinity)
・マネージメント系(経営・管理 Management)
・ホスピタリティ系(もてなし Hospitality)
といった3つの分野の仕事はなくならないだろうと
私は考えています。
よく話題にのぼる議論だ。
AI時代を生き抜く戦略。
とか、そんな感じで出て来るやつだ。
以前にも言及したが
中間層の事務職の仕事が
真っ先に奪われる、と言われている。
クリエイティブな仕事(C)
マネジメントの仕事(M)
ホスピタリティ系の仕事(H)
は、なくならないだろう、と。
そんな議論である。
CMH(上記の3つ)を行うにはいずれも、
他人との感覚の通有性を必要とします。クリエイティヴィティやホスピタリティは
ともかくとして、マネージメントに
なぜ感覚の通有性が必要なのでしょうか?
その理由としては、
ロボットは、人間の持つような感覚を
掴むことができないから、だと言う。
よって、他人の感覚を理解することが必要な
上記のような仕事は難しい、と。
フレイ&オズボーンの「雇用の未来」では、
人間に残される仕事のスキルとして、
「クリエイティヴィティ」(創造性)と
「ソーシャル・インテリジェンス」(社会的知性)が
挙げられています。私は、ソーシャル・インテリジェンスをさらに、
マネージメントとホスピタリティに分けて考え、
ホスピタリティの重要性を特に強調します。
マネジメントが人間から消えてなくならない理由として
ソーシャル・インテリジェンスの存在を挙げる。
ソーシャル・インテリジェンスの中には
マネジメントが内包される、との考えだ。
確かに、マネジメントは人の力が必要だ。
心無い経営をしていたら
ガンガン人が離れていく。
相手の心を理解(しようと)する必要がある。
それなくしては
マネジメントは成り立たない。
機械を動かし、機械と接するのは
機械が担えばいい。
しかし、人間を動かすならば
人間と接するのはやはり人間がいい。
心が通う事が求められるからだ。
そう思えば、人のマネジメントは
しばらく人が担当するんだろうなぁ。
しかし、人が一切働かないのであれば、
マネジメントにも人は不要かもしれない。
飛躍的な発想ができる一部のスーパースター研究者は
職を追われずに済むでしょうが、
多くの生身の研究者は駆逐される運命にあります。
他の職業でも同じようなことが置きます。
ありふれた調子の曲しか作ることができない作曲家や
感覚の通用性に基づいた細かい配慮のできない介護士は、
汎用AI・ロボットとの競争に負ける可能性があります。
ここに書かれているような「競争」は
既に、現時点ではじまっている、とも言える。
しかし、これから更に競争は本格化するのだろう。
突き抜けないと、汎用AIやロボットに勝てない。
では、どうすればいいのか?
突き抜けられる世界で勝負する。
これしかない。
器用貧乏は、機械に負ける。
突き抜けるものが機械に勝てる。
だからこそ、
自分が突き抜けられるものは何か?
その部分と、より向き合う事が求められる。
誰もが、何となく できてしまうことであり、
人より、ちょっとだけ上手にできる分野で
勝負しよう、なんてことは考えた時点でアウト。
分野は何でもいいが、突き抜けてなんぼだ。
ソフトバンクのロボットPepperのレンタル価格は
現在一時間1,500円です。
(Pepperのサポート要員の給料などは考慮していません。)
最低賃金は都道府県によって異なっていますが、
東京都では時給900円ほどです。
その差はわずか600円しかありません。
ロボットの時給 1,500円。
これは考えた事がなかった視点だ。
しかも、ロボットは休憩不要。
下手な対応をすることもあるが
基本、文句を言うことはない。
それに比べて
時給換算をすると、正社員だと
おそらく1,500円を超える。
となると、、、
どっちがいいのだろうか?
と、冷静な判断を
くだされることもあるかもしれない。
福利厚生も、人事評価も不要なロボット。
電気と通信が切れない環境さえあれば
機能を発揮してくれるのだ。
既に現時点では
特定領域においては勝てる気がしない。
その領域がさらに広がる、というのだ。
成長のボトルネック「労働力」が消える?!
技術進歩や開墾によって穀物の収穫量が増大しても、
その分だけ人口が増大するので、一人あたりの
食い扶持は変化しないのです。
それを「マルサスの罠」といいます。
第一次産業革命までの話。
通常は、収穫量が増大したら、人は豊かになる。
一人当GDPも増えそうだが、
当時は、それほど増えていない現実がある。
その理由が、豊かになると、
生めよ増やせよで、国民は増えていった。
よって、瞬間的には豊かになっても
長い目では、1人分の食い扶持も増えない。
と、そんな話だ。
しかし、産業革命は、人口増大のスピード以上に
生産量が劇的に伸びるインパクトを与えたのだそうだ。
イギリスを始めとした欧米諸国の経済は、
工業化し機械化することによって上昇路線を辿りました。
それに対し、アジア・アフリカ諸国などの経済は停滞路線を辿り、
欧米諸国に収奪されることによりむしろ貧しくなりました。
こうして世界は豊かな地域と貧しい地域に分かれてしまいましたが、
これこそが
最初の「大分岐」(大いなる分岐、Great Divergence)
産業革命後、「大分岐」と呼ばれる大きな分岐が起きた。
工業化の波に乗った国々と搾取される国々に分岐した。
要因に関しては様々な意見があるようだ。
土地の広さ、植民地、石炭、だとか。
大分岐の言葉を頭に入れておいて、とこの本では強調している。
それは人工知能時代を見据えてのことだ。
純粋機械化経済では、
ボトルネックたる労働を捨て去ることで、
爆発的な経済成長が可能となります。
「機械経済」と「純粋機械経済」の違いを語っている。
機械経済では、機械と労働の両方のインプットを元に
アウトプット量が決まる。
労働の必要性が最大のボトルネックになる。
それに対して、純粋機械経済では、
機械のインプットでアウトプットが決まる。
ボトルネックである労働力の存在が消えるのだ。
機械が機械を成長させ、
拡大スピードを左右する技術進歩も機械が起こす。
よって、経済成長し続ける。
そう、著者は語る。
この話の中で、需要が減少する効果「需要制約」は
考慮しておらず、この通りにならない可能性はある。
とも、著者は増える。理論上は成長し続けるのだ。
短期的には、
需要不足でGDPが落ちることはあっても
長期的にはあり得ない、と考え、
供給側の要因のみがGDPを決定付けるものと考えるのが
一般的な経済学のスタンスらしい。
しかし、現実には、そうではない、と著者は語る。
確かに、たまごっち、とか需要がなくなって消えた。
この後、著者は
汎用AIをいち早く導入した国と導入が遅れた国々が
大きく分岐し、「第二の大分岐」が起きる、と続ける。
そうなった時には
資本家に富が集中し、労働者は仕事を奪われる、とも。
第二の大分岐はきっと起きる。
その分岐の要因となる「汎用目的技術」はきっと汎用AI。
汎用AIが誕生すれば、事務労働だけでなく
長期的には、肉体労働、頭脳労働もAIやロボットに負ける。
どこが、先頭を走るだろうか。
労働人口が世界に先駆けて大きく減りつつあり、
生産性を伸ばしていかなければ対応できない日本。
ある意味で、環境は整っている。
最後(たぶん)あともう1回だけ、続けます。
この本、本当におすすめです!
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