KGYの拡げたミャンマーネットワークから企画・提供。
絶賛! ミャンマー語勉強中の日本人による
ミャンマー新聞翻訳、不定期掲載シリーズ、第21弾。
【ミャンマーニュース#021】シャン州の総合病院、CTスキャン装置を購入も、操作できる技 師おらず
昨年11月、シャン州東部にある
チャイントン市総合病院(200床)に
CTスキャン装置が初めて設置された。
12月から使用を開始する予定だったが、
装置を扱うことができる技師がいないため、
まだ一度も使用できていないという。
同病院のゾーリン院長は
「以前うちの病院にいた技師が、
博士号を取得する制度で選ばれたので退職した。
先日、大統領府大臣と面会した際、
何か困っていることはないかと聞かれたので、
技師がいなくて困っていることを伝えた」
と話した。
同病院が設置したのは
16列型マルチスライスCTスキャナーで、
2015-2016年度予算から
約4億チャットで購入したという。
同市のある住民は
「重い病気で、お金に余裕がある人は
タイの病院まで行っている。
CTスキャン装置が使えるようになれば、
たくさんの人が地元で安心して治療を
受けることができるようになるのだが」
と話した。
(3月10日発行 The Voice)
ミャンマーらしいニュース。。
この記事を読んで真っ先に思ったのは
なんともミャンマーらしい
という感想。
その理由には2つあって
1、博士号が最優先
2、イイモノ買っとけ精神
ちょっとトゲのある言い方かもしれませんが
ミャンマーでは学歴重視が強いです。
きっとこの医師は、
自分しか装置を扱えない。
ということは認識していたでしょう。
そのために予算が使われたことも。
それでも、博士号に選ばれたからそちらに行く。
これは非常にミャンマーらしい。
本人の意志だけじゃないでしょう。
きっと国からの圧力もあるだろうし
家族からの圧力もあっただろう、と
そんな事を思います。
国としては選ばれたんだから行ってくれ、と
そう思ってゴリ押しするだろうし、
家族は家族で、名誉を気にするからゴリ押す。
で、本人の意志はどうかわからないが、
ここまで言われたら、博士を取るかと。
なんかそんなとこってミャンマーっぽい。
と、なんとかなく感じたのです。
2、イイモノ買っとけ精神。
このCTスキャンはわかりやすい例で
操作できる人が1人しかいない事はさておき
この装置がほんまに必要なのか?と。
そこである。
お金持ちはタイに行っている。
これが現実でしょう。
画像診断医も信頼できそうだし、
何かあったら二次対応できる。
ミャンマーだと無理です。
何か異常が見られても
タイに行きましょうか、という
判断しかできないでしょう。
シャン州は他の州に比べて
かなりお金持ちが多いエリアです。
であっても、信頼度・料金等を考慮し
中間層等も含めて、
国内でCTスキャンを受けたい!
という奇遇な人はいるんでしょうか?
何年後にそれが必要となるでしょうか?
で、この装置ミャンマー国内に必要?
てかそこまでのモノが必要?
っていう視点にはならない。
せっかく買えるんだったらイイモノを。
と、こうなる。
で、結局 メンテナンスできなかったり
(だって国内に技師はいないし
海外から技師を呼ぶとなれば
メンテナンス費が高くつく。
そもそもメンテナンス費とか
予算計上されてないだろう。。)
誰も利用者がおりません。
つって、放置される。
いわば、宝の持ち腐れってやつ。
こういうの結構 多いらしいんですよね。
以前、IT関連の事業をやってる方と
お話をしていた時のこと。
その方はセキュリティーの専門。
各社に訪問して設備を見ると
なかなかイイモノが設置されてたりする。
ミャンマーでのサービス体制が敷かれてない
世界的には最先端のものとか。
でも、その手前の運用の部分で
「設備の前に、やることあるだろ。」
と、突っ込みたくなる事が多かったとか。
具体的には、運用は人がやります。
例えば、大手銀行の
サーバールームに誰でも入れる管理体制。
パソコンにロックは掛かっておらず
誰でも見える状態。
(そもそも個人情報保護とかいう意識はなく
ちょっと前まで全件ペーパー管理。
つまり、書類の山がそこら中にある。)
セキュリティ担当のレベルが低過ぎて
話にならない。
「この人に任せちゃあかんでしょ。」
という状態だったそうです。
イイモノを保有したい気持ちはわかる。
でも、その前にやることあるでしょ。
っていうお話です。
大きいテレビを買うのに
テレビを置くスペースがない、とか。
超高機能の大型洗濯機を買ったけど
洗濯機置き場のサイズに合わない、とか。
そういう世界。
イイモノが欲しいのはわかるけど
その先に使う人 とか 管理する人 とか
そもそも維持管理コストとか
そういうことをリスクも踏まえて
考えてから買おうよって話です。
まぁでもそういうのってミャンマーらしい。
ってか、そんなにリスクを考えて、
うんぬんかんぬん なんてできるのは
相当 経験を積んでないと簡単じゃない。
もしくはそういう情報が蓄積されてないと
そんな判断はつきません。
ミャンマーはこれからの国。
それを強く感じたニュースです。
それにしても4,000万円近くの
CTスキャンが技師がいない。
を理由に放置され続ける。
勿体なさ過ぎる現場ですね。
誰か 他の都市からでも
サポート来てもらったらええのに。
きっとそういう動きになるでしょう。
いきなり国の指示で
異動命令が発動されるのでしょう。