KGYのミャンマー現地人脈を活用した
ミャンマー語勉強中の、とある日本人による
ミャンマー新聞翻訳、不定期掲載シリーズ、第7弾。
【ミャンマーニュース#007】縫製業労働者を対象にインタビュー調査を実施 約6割が必要最低限の生活費を賃金でまかなえず
ヤンゴンのGreen Hill Hotelで12月9日、
世界各地で貧困支援活動を行うNGO・Oxfamが、
ミャンマーの縫製業労働者を対象に行った
インタビュー調査の結果を公表した。
調査結果によると、4人に3人が
必要最低限の食費、医療費、交通費を
賃金だけでまかなえていないという。
43%が知人などから借金をしており、
その平均額は 5万7,400チャット。
また、31%が職場のリーダーに
暴言を吐かれたことがあると答えた。
設備面での職場環境は
決して安全であるとは言えず、
ほとんどの労働者が危険を感じながら
仕事をしている状況だという。
共同で調査を行った
88 Generation Peace and Open Society
労働分野担当のテッテッアウン氏は
「3,600チャットの最低賃金が制定された今もなお、
労働者らは賃金搾取や過重労働の被害に遭っている。
健康に影響が出るケースも少なくない。
現在ミャンマーで
縫製業を行っている事業者のなかでも、
労働者の人権を無視しているのは
外国人事業者に多いと感じる」と話す。
ある韓国企業を例に挙げ、
「本来は、ミャンマー投資委員会に
承認された期間が終わるまでは
事業を続ける責任があるが、
企業側の勝手な事情で
突然工場を閉鎖してしまった。
当然、労働者たちは混乱に陥った」と非難した。
(12月11日 Democracy Today)
労働者たちの嘆きの声「裏と表」
どういう調査なのか、詳細はわからない。
しかし、これだけを見ると大変なことだ。
そう見える。
しかし、少し 別の視点からも考えてみたい。
その視点は「雇用の創出」
仕事がない方がいいのか
仕事がある方がいいのか
この議論がすっ飛ばされているようにも思う。
いや、賃金搾取はよくないし
人権無視もよくない。
そのことには、否定の余地はない。
ただ、この記事だけをいきなり見ると
縫製業にある 「雇用の創出」 という
根本的な部分、をふと忘れそうになる。
仕事がない人がたくさんいる。
よって、人に頼って生活をしていく。
こういう生き方もあるだろう。
それがいいか悪いかはさておき。
借金をしてまで生活をしなきゃいけない。
そういう生活水準に引き上げたのは誰か?
ここも忘れてはいけない気がする。
必要最低限の生活
というのを私は経験したことがない。
これは私の人生が恵まれていたおかげ。
だから、その世界はわからない。
偉そうなことは言えないが
仕事を与えられる前と
仕事が与えられた後と
生活水準を変に引き上げてしまい
そのことによって
歪みが生じている。
それも原因なのではないだろうか?
成金が、借金を苦に破産に追い込まれる。
なんていう話もよくある。
バブル崩壊もそういうものかも。
縫製業を叩くのは簡単である。
オフィススタッフに比べて、そりゃ環境もよくない。
エアコンがなけりゃ暑いし
労働時間も残業含めて長いかもしれない。
しかし、それで残業代がもらえる。
そういう労働者がいるという側面もある。
労働者がすべて正しいわけではない。
借金の裏にある
本当の厳しさなのか、無駄な贅沢なのか
ここを見極める必要があるかと。
モノには、裏と表がある。
善し悪しではなく、表と裏がある。
ここを、今回の記事を通して
伝えられた気がした。
目を反らしてはいけない現実
2015年9月1日から最低賃金が制定された。
1日 3,600KS(約 360円ほど)
この制定により、多くの縫製業が悲鳴をあげている。
ミャンマーの残業代は 通常の倍額支給が求められる。
これまでは最低賃金の定めがなかったから
基本給を低めに、その他の手当で
最低限の生活を賄えるよう 支払っていた。
しかし、今回は基本給が3,600KS。
時給は 450KSと定められた。
よって、残業代は 900KSが必要な計算。
1人、2人ならいい。
しかし、100人だと
1時間の残業で 9万KS。
毎日 2時間残業あれば
18万KS。
月 20日だとしても、
360万KS。(36万円)
これが500人だったらその5倍
1,800万KS。
つまり 180万円くらい。
まぁこれまでも残業代を
支払っているから、差し引いたとしても
100万円の経費(しかも固定費)上昇は
相当なダメージとなるだろう。
よって、企業は 残業を減らす、とか
そういうことをしなきゃいけない。
そうすると、結果的には
生産量が下がり、
他国との競争力が下がり、
という負の循環に入る可能性もある。
逆にいいように作用する可能性もある。
生産性が向上する、とか
より高度な技術を要する高付加価値産業が
こぞってやってくる、とか
そういう可能性もある。
しかし、今 この瞬間にご飯を食べている人がいる。
その人たちの環境、という
目を反らしてはいけない現実もある。
そんなことを思い起こされた記事。
長期の軸で物事を見る。
私は、これを意識している。
しかし、目の前の現実を
しっかりと見据えること。
ここを忘れてはいけないな。